唾液で片頭痛を診断?

皆さんこんにちは。

“新米”頭痛専門医のDr. Goです。

今日は片頭痛治療の最新トピックスをご紹介します。

唾液で片頭痛が診断できるようになるかもしれない、という興味深い研究が今年の8月にスペインの研究者たちから発表されました。一体どういうことなのか、解説していきましょう。

そもそも片頭痛はどのようにして診断するのか。

片頭痛は主に患者さんの症状の特徴から診断します。MRIやCTを使って脳出血や脳腫瘍といった心配な病気がないことを確認したのち、“ズキズキする”、“頭を動かすと響く”、“音や光に敏感になる”といった特徴があるかを我々医師が皆さんから聞き出して診断していきます。

毎回、正確に診断できればいいのですが、迷う場合もあれば間違ってしまうこともあります。そんな時、より正確に診断できる方法があれば我々医師にとっても心強いし、患者さんにとっても当然良いわけですね。まだまだ研究段階ではありますが唾液で診断ができるようになれば結構画期的です。それに唾液は採取するのも簡単ですし(採血みたいに痛みもなし)。

それではどのように唾液を使って診断するのか、少し詳しくお話ししましょう。

片頭痛が起こるときにCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)という神経伝達物質が関係することが最近わかって来ました。“最近”といっても最初に発見されたのは40年前ですが(医学の世界で40年は最近です、、、)。CGRPは三叉神経という脳を包む膜(硬膜)や顔の感覚を司る神経から出され、健康な人に比べ片頭痛持ちの人はCGRPがより多く放出されていることが次第に明らかになってきました。昨年には日本でもこのCGRPの働きを弱めることで片頭痛を予防する新薬が使えるようになりました。エムガルティ・アジョビ・アイモビークといったCGRP関連製剤について聞いたことがある人もいらっしゃるかもしれません。

CGRPが関連していることもわかってきたし、CGRPを抑え込めば片頭痛を予防できるということもわかってきました。ところがCGRP自体を測定することは難しかったのです。そしてようやく科学の進歩とともに唾液中のCGRPを測定できるようになりました。今回の研究はその技術を用いて片頭痛の診断ができ、どれくらい重い頭痛になるのか予測ができそうだ!と明らかにしたのです。さらに、さらに、唾液中のCGRP濃度によって先ほど紹介したCGRP製剤がどれくらい効くのかということも予測できそうだということもわかりました。

私も外来でたくさんの患者さんにエムガルティやアジョビ・アイモビークといったCGRP製剤を処方していますが、すごく良く効く人とあまり効かない人がいることを実感していました。ただその違いがどこになるのかはよくわかっていません。もし今回の研究のように、誰に効いて誰に効きづらいのかが投与前に予想できれば、これまた素晴らしいことです。誰も効かないかもしれない薬を使いたくも使われたくもないですからね。

今回のスペインからの研究は70人しか参加していないので、確実なことを言うためには最もっとたくさんの人に研究に参加してもらわないといけません。いわゆるエビデンスがまだまだ弱いのです。唾液で片頭痛を診断したり、重症度を予測できることに多くの人が意味を感じることができればきっともっと大規模な研究がなされ、商品化される日も来るかもしれません。

こうやって医学は日々進歩し、便利になっていくのですね。

本日のまとめ

・片頭痛にはCGRPという神経伝達物質が関連する

・昨年よりCGRPをターゲットとした新薬が発売された

・唾液を使って片頭痛が診断できるようになるかもしれない

・片頭痛の重症度も予測できるようになるかも

最後まで読んで頂きありがとうございます。

このブログは頭痛専門医を取得したばかりの私Dr. Goが「頭痛」にまつわる情報を中心にみなさんに正確な情報をわかりやすくお伝えするためのものです。

それではまた次回!

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